映画「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」に考えさせられること多し
試写を観た帰り道、元の職場の後輩であり美術の紹介屋としては先輩に当たるS嬢と感想を語り合った。彼女いわく「よう喋る映画やったね」と。確かに同感。主役となっている美術館には「静寂な空間」というイメージがあるだろうし、また、ビジュアルを楽しむという面も予想されるだろう。しかし、...
肉食系女子と言わないで。恋愛映画「トレヴィの泉で二度目の恋を」
今年のバレンタインデーに、なんともキュートな恋愛映画が公開される。主役の恋人たちは人生の老境にある男女。ふたりは、時に年輪を感じさせるウィットに富んだ会話を交わし、時に若者のような青く甘酸っぱい行動に走るので、観る側はそのキャラクターに翻弄され、魅了されてしまう。 ...
時代に抹殺された英雄を甦らす――映画「ジミー、野を駆ける伝説」
「麦の穂をゆらす風」「天使の分け前」などで知られるイギリスの名匠ケン・ローチが、アイルランドの知られざる英雄を題材にした映画「ジミー、野を駆ける伝説」を監督。日本でも間もなく公開される。実在の人物ジミー・グラルトンの社会的闘争を描いた物語には、政治や経済、宗教とともに、人間...
映画「TATSUMI」に 秘めた怒りを見る
少し前に紹介したアンソニー・チェン監督「イロイロ」とはまた趣向の異なるシンガポール映画が日本に上陸。いや、上陸というより、帰還の方が正しいか。エリック・クー監督が初めて挑んだアニメーション映画「TATSUMI マンガに革命を起こした男」は、「劇画」創始者のひとりにして名付け...
「ちゃんと生きなきゃ」と奮い立たされる、映画「おみおくりの作法」
「フル・モンティ」のプロデューサーとして知られるウベルト・パゾリーニの監督・脚本・製作でイギリスを舞台に撮影された「おみおくりの作法」は、笑っていいのか泣いていいのかわからず、もう両方いっぺんにしてしまえ!という境地にいたってしまった。そして観終わった後は、不思議と奮い立つ...
映画「イロイロ」は何がいろいろ!?
ちょっと前に取材した劇作家・長田育恵さんの話も思い返しながら、私たち日本人は、今後ますますアジアという視点に立って物事を見る必要があるのではないかと感じた。シンガポール映画「イロイロ ぬくもりの記憶」を観れば、決して他国の問題ではない何かに突き当たるはずだ。 ...
過酷な世界にも温かな手触り 映画「ショート・ターム」公開
「ショート・ターム」とは、家庭環境などのせいで心に傷や闇を抱えた少年少女のための短期保護施設。このアメリカ映画「ショート・ターム」では、そんな施設を舞台としながら、子どもはもちろん大人の方も、ホンの少し変化を果たすところに心を揺さぶられる。 ...
最後はやっぱり泣いちゃいますよ……映画「至高のエトワール」
フランス語で「星」を意味する「エトワール」という言葉を聞くと、ダンスのファンならばパリ・オペラ座バレエ団のことを思い起こす人も多いだろう。パリ・オペラ座では、最高位にあるダンサーの称号がエトワールだからだ。映画「至高のエトワール~パリ・オペラ座に生きて~」は、世界最高峰にあ...
映画「100歳の華麗なる冒険」に衝撃
スウェーデン映画「100歳の華麗なる冒険」には思いっきりヤラれてしまった。老人を主人公にした作品というぐらいしか予備知識のなまま試写に飛び込んだので、観る前は「いくつになっても人生は輝かしい」というような、穏やかで温かなストーリーを予想していた。ところが!...
館長 庵野秀明 特撮博物館 レポート
11月1日から名古屋市科学館にて、館長庵野秀明「特撮博物館ーミニチュアで見る昭和平成の技ー」が開幕した。この展覧会は、「エヴァンゲリオン」シリーズなどで熱狂的な支持を受ける庵野秀明監督が館長となって、特殊撮影=特撮の博物館を立ち上げたというコンセプトのもと行われている。そこ...