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滝沢歌舞伎、受け継がれる夢の行方


その名をタイトルに冠された滝沢秀明が表舞台を退いて演出に専念し、ジャニーズ事務所の後輩であるSnow Manが主演を務めることとなった「滝沢歌舞伎 ZERO 2021」が6月2日から名古屋の御園座で開幕。初日本番の直前、関係者に向けてゲネプロが公開された。

第一部はエンタテインメントショー。Snow Manの新曲「One Heart」を含む歌、ダンスはもちろん、プロジェクションマッピングやフライングなど最新技術の粋を集めたようなステージが矢継ぎ早に展開され、一瞬も目が離せない。また、回り舞台や花道、スッポン、本水などの趣向もふんだん。御園座の劇場機構がこれほど活かされた演出もなかなかお目に掛かれないのでは? しかも従来の型にとらわれすぎず、自由自在に使い切っているところも痛快だ。

ド派手な演出で目を引く一方、Snow Man、さらに後輩のIMPACTorsほか、すべてのキャストが非常に難しいパフォーマンスを、時に熱く、時に涼やかな顔でなしとげていることに唸らされる。スタッフワークが進化すれば進化するほど、演者も繊細で複雑な表現が要求される。そして人間の身体と音・照明・映像・仕掛けがピタッ!と決まる度、観客は劇場特有の興奮を覚えずにいられない。今回の滝沢歌舞伎でも、おなじみ「腹筋太鼓」に限らず高い身体能力を駆使した演出の数々が、作品をより立体的に見せていた。


本物の水の総使用量は、実に10トン!


山門をバックに、五右衛門が見得を切る!



休憩を挟んで第二部では「満月に散る鼠小僧~残した夢は「笑いあり、涙なし」~」が上演された。鼠小僧は大名などから金品を奪い、貧しい庶民に分け与えた義賊として知られ、本作はその死後を描いている。岩本照演じる新吉が二代目鼠小僧継承を期待されて葛藤する最中、江戸の町では黒影組なる辻斬りの集団が人々を脅かしていた。やがて二代目になることを決心した新吉は、仲間の安兵衛とともに黒影組の成敗に乗り出す……。この第二部はコミカルな要素もたっぷりだが、やはり見どころは大立廻り。激しくスピーディな動きの連続、随所で見得を切る様は、滝沢歌舞伎の真骨頂と言えるだろう。ラストは無数の小判が舞い散り、物語は余韻を残しながら幕を閉じた。

ゲネプロ終了後には、Snow Man9人がそろって会見を行った。佐久間大介が冒頭「主演を務めた佐久間です」と挨拶して「全員が主演だよ!」と総ツッコミを受けたり、各人が好きな名古屋名物を教えてくれたり、冗談も交えつつ腹筋太鼓の苦労を語ったりと、会見は和やかに進行。最後は岩本が代表して、夢を受け継ぐ者の言葉で締めくくった。

「アイドルは、日本の文化だと思っています。この滝沢歌舞伎を海外で公演するのが夢ですが、その前に日本全国の方々にまず観ていただきたい。それから、その先の夢に向かえたらいいなと考えています」

「滝沢歌舞伎 ZERO 2021」
◎開催中~2021年6月27日(日)まで
御園座

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