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AT2019参加アーティスト第一報!


去る10月、あいちトリエンナーレ2019(以下AT)の記者会見が行われ、津田大介芸術監督から参加アーティストの第一弾が発表された。今回は32組の名前が挙がり、全体で約80組を予定しているので、半分近くが決まったことになる。

参加アーティストのひとりで、ジャーナリストでもあるジェームズ・ブライドルに対して津田監督は「自分とは問題意識が違うけれど、その意識をどう目に見える形にするのか、美術として創作、表現するのか興味深い」と語り、監督自身がジャーナリストであることから、ジャーナリズムの視点でアートに迫る参加者が目につく。アメリカのCIR(調査報道センター)などは一体どんな作品を出すのか楽しみだ。

また、あえて今回はビジュアルアート(現代美術)、パフォーミングアーツ、映像と分けて発表しなかったのもひとつの変化。これまでもATでは先端性・祝祭性とともに複合性を掲げてきたが、現在ますますジャンルが接近・横断しあう実情を踏まえ、会期1年前の現時点では出品作がどうなるかわからないため分類を避けたという。なお、オペラがなくなったものの、初回の2010年から検討されてきた音楽プログラムがついに実現。芸術監督は毎回変わってもATの軸は変らわず、より豊かな芸術祭を目指し、積み重ねてきている。

個人的には、劇団Qを率いる劇作家・演出家の市原佐都子が参加するのは嬉しい。彼女は2011年に愛知で主催された第11回AAF戯曲賞を受賞しており、以来久しぶりに愛知で作品を鑑賞できる。その時の受賞作「虫」は性に対する奇妙な感覚が鮮烈だったが、人間の身体や生理、行動を独特の視点で捉える市原の現在に期待が膨らむ。また彼女は俳優としても魅力的なので、自身が出演するのかどうか続報を追いたい。

他に、高嶺格などAT2010の作家陣で再出品するアーティストも、ちらほら。芸術祭のテーマが違うことで作品にどんな変化があるのか、あるいは、私たちの見え方にどんな変化があるのか考察するのも面白い。ちなみに、今回のテーマは「情の時代」。津田監督は「感情の『情』でもあれば、情報の『情』でもある。そして『情け』の『情』でもあります。この情け、あわれみへの共感があることは参加アーティストに意識しました」と語る。

なお、トップ画像でおわかりいただけるだろうか、ポスタービジュアルにはこっそり(?)名古屋城とドアラのシルエットが! 津田が熱狂的な中日ドラゴンズファンということも否定はしなかったが、愛知、名古屋でトリエンナーレが開催されることを親しみやすい形で知ってもらうためのアイデアだ。ATは予算規模でヨコハマトリエンナーレを抜いており、都市型の国際芸術祭としては日本最大とも言える。津田監督いわく「都市型トリエンナーレの意義は、現代アートに興味のなかった人の興味も喚起し、新しい価値や視点を示すこと」。つまり地元あいちの人々がポスターを見て「おっ、やるんだな」と思わなければ、何も始まらない。そこで、まずは公式WEBサイトを要チェック。気になるアーティストが1組や2組はきっといるはずです!

あいちトリエンナーレ2019 ◎2019年8月1日(木)~10月14日(月・祝) 愛知芸術文化センター/名古屋市美術館/名古屋市内のまちなか(四間道・円頓寺地区など)/豊田市(豊田市美術館及びまちなか) http://aichitriennale.jp/

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