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空前のブーム最中、松田龍平主演の将棋ムービーが誕生!


弱冠16歳、藤井聡太七段(※2018年8月現在)の大進撃によって新たなブームを迎えた将棋の世界。以前は関心のなかった人たちも連勝記録から勝負メシまで注目する異様な盛り上がりの中、かつて将棋界で本当に起きた奇跡が映画化され、話題を集めている。その映画とは、挫折を乗り越え、歴史を塗り替えた瀬川晶司五段の同名著書を原作とする「泣き虫しょったんの奇跡」。監督は「青い春」ほかの豊田利晃。「青い春」ヒットの立役者・松田龍平が主演を務めている。豊田、松田の両人に話を聞いた。

豊田「まず、将棋のシーンのリアリティにはこだわりました。松田さんだけでなく他の役者にも『手つきは頑張ってやってくださいね』と伝えたりして。そうすると、小林薫さんとかベテラン勢は上手いんですよね」

豊田がこだわったのは所作だけではないし、そこに理由もある。監督自身、日本将棋連盟のプロ棋士養成機関「新進棋士奨励会」に9歳から17歳まで在籍していた経験を持つからだ。思い返せば、豊田は「王手」(1991年)の脚本で映画界デビューを果たしている。

豊田「僕も奨励会にいましたが、負けてばかりでプロにはなれませんでした。だから、負けたヤツの表情や対局後の過ごし方、ひとりになった時の行動などを繊細に描きました。同じ経験が僕にもあり、感情移入しやすかったので……。それもリアリティにつながったと思います。実在の人物の話ですが台詞を替えたりしているので、どこが原作で、どこがオリジナルかはわからないほど。ただ、精神的に僕自身が反映されている部分は大きいです」

一時は将棋を憎んでさえいたという豊田だが、原作を読んで「また指したい」という気持ちと映画化への情熱を突き動かされた。書いた当の主人公・瀬川はどんな人物なのだろう。

松田「誠実さにあふれ、自分の気持ちに正直で、かわいらしい方だなと感じました。イン前から将棋の指導をしてくださったおかげで、ずっとそばにいられたので、こちらも瀬川さんを観察して演技の際には意識しました。瀬川さんはカフェのマスター役で出演もなさっているんですが、一緒のシーンでは瀬川さんばかり気になってしまって(苦笑)。それは初めての体験でした」 豊田「生真面目な人柄は、将棋の手つきにも表れていましたよ」

オープニングで駒を並べているのは瀬川の手。エンドロールの最後に挿入されているのは監督の手だそうで、「俺がいちばん、手つきが上手いんだぞ!という遊びのカットですよ」と茶目っ気たっぷりに語ったが、そこからは誰しも共感するメッセージが伝わってきた。

豊田「将棋は取り組む姿勢などからして“個人のもの”という印象が強く、そういう世界は将棋特有じゃないでしょうか。将棋に挫折した人間からすれば、映画の題材にすることには辛いところもありました。誰でも何事かが憎しみに変わる瞬間はあるはず。それが再び愛に変わったから、この物語は美しく、万人に通じるものになったんだと思います」

そんな豊田監督に対して松田は「映画の面白さを教えてくれた人。現場をともにする度、ワクワクする」と撮影を振り返る。本作には確かに、永山絢斗や染谷将太、渋川清彦、駒木根隆介、新井浩文、早乙女太一、妻夫木聡、さらには松たか子、美保純、イッセー尾形、國村隼など、日本映画の実力者・個性派の俳優も居並ぶ。中でも重要なキャラクター、主人公の幼なじみで親友の鈴木悠野を演じたのはRADWIMPSの野田洋次郎だ。野田はもともと松田と親交が深く、そこに豊田が目をつけた。

豊田「ふたりは恥ずかしそうだったけど、結果、良い雰囲気で撮れました。そういえば、サラリーマン時代の同僚役を演じた石橋静河さんにも照れていなかったっけ?」 松田「(石橋凌・原田美枝子の次女である)石橋さんの家には子どもの頃よく遊びに行って、彼女をおんぶしたこともあるのに、すっかりお姉さんになっていて、キレイだなと(笑)」

ちなみに、キャストたちにも将棋愛が芽生えたのか、空き時間には役者同士で対局していたとのこと。果たして、みなさんの腕前は……?

松田「僕は弱いから、負けるのがイヤで、同じくらいのレベルの渋川さんと指していました(苦笑)。駒木根くんが上手くて、趣味でもよく指しているとうかがったかな。あとは、絢斗がいちばん成長したと思いますよ」

この映画を観れば、自分でも将棋を始める人はもちろん、古い将棋盤を引っ張り出してくる人も増えそうな予感。将棋、あらためて熱いです!

「泣き虫しょったんの奇跡」 ◎9月7日(金)~、TOHOシネマズ 名古屋ベイシティほかにて公開 http://shottan-movie.jp/

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