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家族やLGBTという視点からも、女性について考えられる映画祭に


日本で唯一〈女性〉に焦点を当てた国際的な映画イベント「あいち国際女性映画祭2018」の記者説明会が行われた。これまでも国内外で活躍する女性監督の作品はもちろん、女性を主題にした映画などが紹介されてきたが、今年で23回目を数え、さらに時代にふさわしく、家族やLGBTという視点からも女性の在り様を問いかける作品が並んだ。

そのひとつが特別企画にラインアップされた『妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ』だ。山田洋次監督の同作は文字どおり妻、家族という視点で女性をとらている。なお、特別企画ではトークイベントも同時開催され、『妻よ~』の上映後には橋爪功、黒澤明監督『天国と地獄』の上映後には仲代達也がゲストとして登場。どちらも聞き手は当映画祭運営委員会顧問・野上照代が務める。野上は元黒澤映画制作助手として、女性の進出が難しかった時代から映画に携わる人物。彼女の貴重な話を聞けるのも女性映画祭らしい趣向となっている。また、LGBTの問題を笑いも交えて描いたカンボジア映画『ポッピー ハリウッドに行く Redux』の終映後には、はるな愛が登場。自身の体験も踏まえた話が聞けそうだ。

他には、東海地方に関連した作品も興味深い。学者だった祖父の足跡をたどり、第二次世界大戦中の名古屋にあった強制収容所について取材するムージャ・マライーニ・メレヒ監督のドキュメンタリー『梅の木の俳句』はイタリア・日本の制作で複雑な歴史の流れを検証している。また、元パンクロッカーだった岐阜・大禅寺の住職と自殺防止活動に迫った『いのちの深呼吸』は、アメリカ人監督ラナ・ウィルソンが日本の自殺の現状を、岐阜という地方都市でどう見つめたのかが見どころとなるだろう。そして、よしもとばななの同名短編小説を映画化した『デッドエンドの思い出』はオール愛知ロケで、地元民なじみのスポットが随所に出てきて楽しい。韓国・日本の制作で監督はチェ・ヒョンヨン、主演は少女時代のチェ・スヨンとBOYS AND MENの田中俊介。今回は特別試写会として披露される。

さらに長編・短編のコンペティションや名古屋難民支援室との共同企画など、映画と人、映画と社会をつなぐプログラムが充実。拠点となる愛知県女性総合センター(ウィルあいち)のほか、サテライト会場のミッドランドスクエアシネマ、共催会場のアイプラザ半田、弥富市総合社会教育センターでも展開され、合わせて32作品が上映される。作品別の前売券は7月25日(水)発売開始。

あいち国際女性映画祭2018 ◎9月5日(水)~9日(日) 愛知県女性総合センター(ウィルあいち)/他 http://www.aiwff.com/2018/

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