御園座の新劇場開場式で行われた、珍しい「ばち渡しの儀」と一番太鼓
こけら落としとなる4月の歌舞伎興行に先駆けて、御園座で新劇場の開場式典が行われ、開式の前に「ばち渡しの儀」と一番太鼓が披露された。一番太鼓は江戸時代から歌舞伎の開場を知らせるために打たれてきたが、今では劇場で聞く機会がほとんどなく、どちらかといえば相撲で親しまれている。今回その一番太鼓を打つにあたり、御園座の小笠原剛代表取締役会長から歌舞伎囃子の十三世家元・田中傳左衛門にばちを渡す儀式も行われ、厳粛な空気の中、一番太鼓が鳴り響いた。途中「どんどんどんと来い、どんどんどんと来い」と聞こえるリズムには、大入り祈願がこめられている。
一番太鼓を打つ様子
続いて御園座の歴史を振り返る映像が流れ、松平定知アナウンサーの進行で開式。あらためて小笠原会長が挨拶の後、愛知県の中西肇副知事ほか政財界からの来賓、外装・内装のデザインを監修した建築家・隈研吾、御園座と長く関係を築いてきた松竹株式会社から迫本淳一代表取締役社長、さらに日本俳優協会の会長・坂田藤十郎が登壇。祝辞を述べた。
坂田藤十郎「俳優と力を合わせて最高の舞台を作ることができる、最高のスタッフを配してくださったことは大変な喜びです」
そして式典の最後を飾ったのが、ご祝儀舞踊「寿式三番叟」。藤間勘祖による振付で、松本白鸚、中村雀右衛門、松本幸四郎が出演。大向こうからは「高麗屋!」「京屋!」の声も掛かり、いよいよ新たな船出を迎えるという高揚感が劇場内にあふれた。
「寿式三番叟」を踊る松本白鸚(中央)
「寿式三番叟」を踊る中村雀右衛門(右)と松本幸四郎
柿葺落四月大歌舞伎 ◎4月1日(日)~25日(水) 御園座 S席24000円 A席22000円 B席12000円 C席8000円 御園座公式サイト