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少年社中が20周年の節目に里帰り


名古屋出身の毛利亘宏率いる少年社中が20周年を迎え、東映とタッグを組んだ新作ツアーを敢行。愛知にもやってくる。少年社中単独では東海地区初登場。毛利に話を聞いてみると、静かな闘志が伝わってきた。

「少年社中結成のきっかけが高校演劇にあるので、地元に帰ってきて公演できることは嬉しいですね。20周年記念ということも含め、満を持して勝負を挑む気持ちです」

出身校は、高校野球の名門としても知られる東邦高校。劇団員の井俣太良らとともに、毛利は演劇部で活動に励んでいた。ただ、ちょっとホロ苦いエピソードも……!?

「僕が在学中、野球部は3年連続で甲子園出場を果たしたんですが、僕たち演劇部は3年連続で地区大会負け。その悔しさから甲子園には一度も応援にいきませんでした。でも今となっては後悔しているんですよ(苦笑)。当時は違ったんですけど、今は野球が大好きなので。もちろんドラゴンズファンです。不思議なもので、地元を離れてみると故郷の球団は気に掛かるんですよね。ただ、今シーズンは……(苦笑)。それだけに京田の新人王は本当に良かった。ドラ1、一番だけが人生じゃないですね。僕らも高校時代は一番になれませんでしたけど、こうして演劇を続けていられるんですから」

故郷への想い、演劇への想いも秘めながら迎える記念公演。毛利は多彩な悪役たちが登場する「ピカレスク◆セブン」を書き下ろした。その着想点はどこにあったのだろうか。

「脚本を担当している『宇宙戦隊キュウレンジャー』で12人もヒーローを登場させているんですが、その反動か、悪人を描きたいという想いがふつふつと湧き上がってきて(笑)。それで、徳川家康と戦う『“悪人版”七人の侍』のような作品を思いついたんです。真ん中にはマクベスを立たせ、ピーターパンなんかも登場させて……。ピーターパンは一般的に悪人ではありませんけど、子どもをさらってそそのかす行動だけ見たら悪人じゃないですか(笑)。そうやって一回、登場人物たちを悪に染めて、そこから各々の人間性を描き出したり、善とは何か?悪とは何か?という問題に迫りたいと考えています」

作・演出の毛利亘宏

歌舞伎を題材にした自作もあり、歴史物でも定評のある毛利。本作でもシェイクスピア劇屈指の人気演目「マクベス」を題材にしつつ、“トクガワイエミツ”“トクガワイエヤス”といった存在を登場させる。誰もかれもが日ノ元に闇をもたらす悪党だが、その中には意表を突くキャラクターもいて面白い。

「自身の王を謀殺したマクベスが、転生したら何をするのか。そこに生まれる葛藤をまずは描きたくて。そして、もうひとりの中心人物がトクガワイエミツ。イエミツはマクベスを討って、日本を取り戻す立場です。他に織田信長やフック船長、リチャード三世、オペラ座の怪人、ぬらりひょんや“ナイカクソウリダイジン”という名前の人物も登場します。和をベースにバラエティ豊かなキャラクターを並べることで、おもちゃ箱のようにできればいいなと。絵的にも華やかさのある“悪の祭典”、ダーク・ファンタジーになりますよ」

マクベス役には鈴木勝吾、トクガワイエミツ役には宮崎秋人と、見目麗しい若手が登板。対して“東照大権現・トクガワイエヤス”には、毛利らの先輩に当たる大高洋夫を招いた。

「鈴木くんはサプライズに満ちた芝居を見せてくれるんですよ。いい意味で空気を読まず、自分の思うとおりに突っ走るところが魅力です。一方の宮崎くんは、丹念に粘り強く演技を積み上げていくタイプ。育ちの良さが滲み出て、品があるので、生まれながらにしての将軍だった家光に合うと思います。大高さんは、早稲田大学演劇研究会の大先輩であり、高校時代から憧れの人。『轟轟戦隊ボウケンジャー』でラスボスを務めてこられましたし、一癖も二癖もある役者なので、まさしくイエヤスですよ。僕は当て書きをするので、役者の個性もモチーフに、役者と役柄の境界がわからないキャラクターを創造したいですね」

ちなみに、会場は岡崎市民会館。言わずと知れた家康ゆかりの地・岡崎での公演に、毛利はこんな本音を語った。

「名古屋市内の会場をとれなかった事情はありますが、翻って運命ですよね! しかも岡崎市民会館のある康生町は、まさに家康出生の地。磁場があります。僕は戦国武将の中で家康がいちばん好きなんですよ。耐え忍んで耐え忍んで、天下を取った。死後のことまで考えたという点でも三英傑で最も優れていると思います。やっぱり戦国最強の天下人ですよ」

少年社中20周年記念第一弾 少年社中×東映 舞台プロジェクト 「ピカレスク◆セブン」 ◎1月27日(土)11:30/17:00 岡崎市民会館あおいホール S席7800円 A席6800円 ※就学児童は入場不可。 少年社中 公式サイト 中京テレビ事業 公式サイト

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