アニマル・レリジョンが愛知上陸。豊橋公園で作戦会議中!?
あいちトリエンナーレ2016のパフォーミングアーツ部門の参加作品を集中させた特別週間“レインボーウィークス”が本格的に開幕する。9月26日には、スペインからアニマル・レリジョンが来日。会場の豊橋公園に連日詰め、上演作品「Chicken Legz」の滞在制作を行っている。その様子を見学しつつ、同カンパニーの創設者キム・ジロンに取材した。
「『Chicken Legz』は僕たちにとって例外的な作品。本国のカタルーニャ州タレガで開催されるフェスティバルから『場所に合わせた作品を何かできないか?』というオファーを受けて製作したので、よりサイト・スペシフィックなものになっているんです。観客がオブザーバーではなく、能動的に、アクティブに、主体的に取り込まれていく点も特徴ですね」
アニマル・レリジョン創設者のキム・ジロン
同作の初演は、なんとスペインの農場。それが今度は、豊橋公園の風景と調和するのか、はたまた奇妙な違和感を生み出すか。
「半分はすでに作られているものですが、残り半分は場所について語られるものなので、あいちトリエンナーレでの再演は世界で唯一の作品になりますよ。豊橋公園は非常にオープンな空間で、森の一部のようでもあります。まず自然があって、次に知恵や精神性を感じさせる。さらに、お城が見えて、川に接していて、お堀があって、僕自身とても気に入っています。川の隣にはひとつの道があって、迷宮のようなエリアもあるんですよね」
フォークリフトを使った曲芸さながらの演出。時には闘牛に見える瞬間も……!?
土地の高低差を生かした演出など思いめぐらし、古代ギリシアのような劇世界も考えているというキム。一方で、石垣や石畳などの建造物にエキゾチシズムを感じ、練習場所が柔道場なのでマーシャルアーツの世界に刺激を受けているとも。「ヨーロッパのアーティストとして、日本やアジアの文化に近寄り、真似してみるのが楽しい」と語り、日本語を発したり、鞭をヌンチャクのごとく操ったりと、奔放な趣向で観る者を引きつける。また音楽担当は、街で耳にするゲーム音にインスピレーションを得て電子音楽を作っているそうだ。そして、サーカスやアクロバット、音楽など多彩な要素にあふれ、集団名に表れるとおり動物のモーションまで挿入された「Chicken Legz」は、暗示にも満ちている。
「僕は自然と動物を観察して、そこから学ぶことに関心があるんです。自然は神や宇宙が与えた素晴らしいものですから。僕は自分を、人間ではあるが動物であるとも考えていて、いつも人間である理由づけを行っている感覚があるんですよ。ただ、理由に終始するのではなく、動物的な、活発な部分を作品に生かすということに重きを置いてはいます」
鞭の音が大迫力でビビる
「豊橋公園には動物がいないけど、虫はいっぱいいる(苦笑)」と虫刺され対策でも奮闘中のキムだったが、「豊橋の人々にお越しいただきたいのと同様、ペットもお呼びしたい(笑)」と言い、ペット同伴の鑑賞を大歓迎。かなり貴重な体験になること必至だ。
なんとも楽しそう♪♪♪
「僕たちは、観客が心の底から本能的に楽しめるものを目指します。逆に、ポジティブな観客の存在は我々にとってのプレゼントになる。どうか、みなさんの動物的な面を見せて、僕たちを喜ばせてください」
結成4年にして早くも国際舞台で活躍する若き気鋭集団の初来日公演は、やっぱり勢いもノリも違います! アニマル・レリジョン「Chicken Legz」 ◎10月8日(土)~10日(月・祝)
14:00 (13:00~、上演前のパフォーマンスあり) 豊橋公園 国際展チケット(普通チケット、フリーパス、または豊橋地区限定チケット)の提示が必要。 ※中学生以下無料。 あいちトリエンナーレ2016 ◎開催中~10月23日(日) 愛知芸術文化センター/名古屋市美術館/名古屋・豊橋・岡崎市内のまちなか/他 http://aichitriennale.jp/