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呑み喰いしながら重量級の演劇を!?


名古屋で最も旬な表現者集団のひとつ、room16が初めてTOKUZOで公演を行う。TOKUZOは、治外法権(!?)の酒場街・今池にあり、飲食しながらステージを観られる居酒屋として幅広い客層を持つライブハウス。音楽に限らず、演劇や上映会、トークイベントなど、ジャンル横断的なスペースとしても名高い同店で、room16はどんなパフォーマンスを見せるのか。彼らの稽古場を訪れ、新作「too fast to live, too young to die」を取材した。

新作は、八代将弥と吉田光佑の共同名義=SABOの作・演出によるオムニバス演劇。会場の性質や短編で構成される趣向を踏まえ、いつもと少し違うライトな作風を想像していたのだが、稽古を見始めるとすぐ予想がハズれていたことを思い知らされる。

「光佑さんから『死が身近な世界の話』という提案があり、『地球が近い将来、滅亡する』という設定が全作品の背景になっています。事前にTOKUZOで娯楽色の強い演劇公演を拝見したりするうち、来てくださるお客様のイメージをくつがえすものにしたくなって……。『too fast to live, too young to die』という題名も光佑さんがつけたんですけど、僕としては極限状態における人間臭さのようなものと考えて書きました」と八代。

       松岡絵梨に演出をつける八代将弥(左)

例えば、この日の最初に稽古していた1編「最期の部屋」は集団自殺を題材にしている。ただ、見ていると案外コミカルな掛け合いがあり、笑ってしまう場面も。悲惨なことと滑稽なことを糸のようにあざなっていく手つきには、room16らしさがあふれていた。

一方で今回は、脚本担当の八代が演出でも奮闘。彼は役者も務めるので相当ハードな状況のはずだが、演出姿の穏やかさに驚かされる。台詞のイントネーションや息継ぎのタイミング、目線の方向、相手の台詞を聞いた後の反応など、細やかな指示を的確に出す八代。自殺志願者を演じる松岡絵梨に対して「観客に本気で“メンヘラ”のヤバイ人だと思わせてください。終演後お客さんと一緒に呑もうとしても、松岡さんの周りだけ人が集まらないぐらいに(笑)」と冗談も交じえて進めるうち、彼女の演技が変化していくから面白い。

そもそも八代自身の台詞術にも舌を巻いたが、かと言ってテクニック重視の演劇など微塵も求めていない。「見世物として越えていきたい」「表現欲を抑え、どう見えているか伝わっているかに意識を」「より演劇的な表現で」といった指示の数々には、人間や世界、演劇…、そういう大きなものと格闘していることが表れている。初めてroom16の舞台を観た時から、挑戦を恐れない姿勢こそ最大の魅力であったことを、今回また再確認しそうだ。

       休憩時間にも片隅で読み合わせをする役者たち        左から藤島えり子、mini-oni、杉浦哲平

なお、八代、吉田、藤島えり子らroom16のメンバー以外に、前述の松岡など客演多数。劇団中内(仮)の中内こもる、すっかり今池の有名人となった爆乳シスターズの山本のぼる、劇団B級遊撃隊の梅宮さおり他、個性的な顔ぶればかりで芝居から目が離せない。

room16 THE 11TH PARTY 「too fast to live, too young to die」 ◎3月9日(水)・10日(木) 19:30 TOKUZO 前売2500円 当日2800円 ※1オーダー制につき、別途飲食代必要。 http://room16.jimdo.com/

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