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騙しの世界も進化!? 「だまし絵Ⅱ」内覧会レポート


1月10日(土)から名古屋市美術館にて「だまし絵Ⅱ」が開幕した。同展は、2009年に東京・名古屋・神戸で開催された「視覚の魔術―だまし絵」の続編。前回は20万人以上が名古屋市美に来場し、展覧会全体では75万人以上を動員するほど好評を博したことから、パート2が実現した。そこで、開幕前日に行われた内覧会の模様をレポートしたい。 アルチンボルドの絵画をはじめ16~18世紀の作品を展示したプロローグで始まり、今回は現代美術を中心とした「だまし絵」の世界が4部構成で紹介されている。過去の時代の作品を踏まえることで、既存の手法も現代の技術によって新しい作品になることがわかり、この第2弾が「進化系」と謳われていることにもうなずける。 第1章は、フランス語で【目をだます】という意味の「トロンプルイユ」。その言葉どおりというのか、一見しただけでは騙されていることすらわからない作品さえ並ぶ。特に20世紀は写真の普及が大きな役割を果たしたが、私たちと写真表現の間にある無意識・無自覚な部分も明らかになったりして面白い。また、この章では展示場所が見つけられないかもしれない作品まで!?

第1章より。左は福田美蘭《婦人像》、右は田中偉一郎《ストリート・デストロイヤー》 「シャドウ、シルエット&ミラー・イメージ」と題された第2章。影や鏡は実体があってこそ成立しているはずだが、そこに逆転が生じると、虚構の方がリアルに……! 光が当たってできる影や、鏡の中に映る姿の方が、実像よりも生き生きと見えたりなんかしたら、ちょっと怖くない? ちなみに、ダニエル・ローズィンの作品《木の鏡》はインタラクティブに楽しめて、子どもたちも大盛り上がりしそう。なお、メアリー・テンプル「光の形『光のインスタレーション』シリーズ(2002~現在)より」は、ミュージアムショップ横の壁に直接描かれているので要注意!

開会式の模様。列席者中央の女性がメアリー・テンプル 第3章「オプ・イリュージョン」では、視覚を直接的に騙す作品がズラリ。ポップ・アートの影響もうかがえるヴィクトル・ヴァザルリの幾何学的な絵画から、あいちトリエンナーレ2013でも人気を博した名和晃平によるミクストメディアの彫刻まで、どれも見応えあり。 そして最終の第4章には「アナモルフォーズ・メタモルフォーズ」と銘打たれ、だまし絵の代名詞的作家エッシャーの作品群をはじめ、マグリットやダリといった巨匠の絵画が並び、観る者を圧倒する。個人的にはホックニーの写真コラージュが好み。ちょっと変わったところでは、スティーヴ・バロンが手掛けたa-ha「テイク・オン・ミー」のミュージック・ビデオも展示されているので、往年の洋楽ファンには懐かしいはず。

第4章より。ヴィック・ムニーズ《自画像 悲しすぎて話せない バス・ヤン・アデルによる》 なお、第2章のハンス・オプ・デ・ベーク《ステージング・サイレンス(2)》は地下にて上映。約20分ながら見入ってしまう映像作品だ。また音声ガイダンスでは、テレビでもおなじみの俳優・八嶋智人が「ギャラリーだまし絵」のオーナーという役どころに扮し、ナビゲーターを務めている。 *トップの展示風景写真の作品は、エヴァン・ペニー《引き伸ばされた女 #2》 ◎3月22日(日)まで、名古屋市美術館にて開催

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